特集 ベッドルームポップ 今、どのアーティストを聴くべきか??

2020年代の音楽シーンを席巻するベッドルームポップの本質    -現代の音楽シーンの主流となるスタイル、ベッドルームポップ- 既に幾つかの記事で言及してきたこの”ベッドルームポップ”ではあるが、まだまだその本質というのは掴みがたいように思える。  筆者も、このベッドルームについては、その特徴について00年代に生まれたミュージシャンの演奏する宅録のポップス・ロックというように定義することができるはずだが、メタルやラップのように、コレというようにその音楽の適用を示すことが現在のところそれほど簡単なことではないように思える。 それもそのはずで、以前の音楽シーンというのは、どこかの地域一点集中で発生するものだったのだ。 しかし、少なくとも、2000年前後くらいまでは、これらの音楽上の潮流というのは、ある国のある地域に集中した音楽ムーブメントであったので、それほど定義づけが困難でなかったように思える。 一つの地域に焦点を絞り、音楽の特質を語り、その音楽に対して音楽メディアや聴衆がどのような反応を示しているのか、あるいは、それが世界的にどのような規模で広がっていったのかを明示しさえすれば、それで充分事足りたのである。 しかも、超一流のミュージシャンに関しては、アメリカ、イギリスの著名なヒットチャートをチェックしておけば、現在のシーンの流れが何となく頭に入って来たのだった。ところが、2010年辺りから、その大衆音楽上の方程式のようなものが崩れてきた。  それはもちろん、これまで何度も述べてきたことだけれども、音楽産業がサブスクリプション配信主流の時代に移行したというのがかなり重要である。つまり、WEB上でミュージシャンが自作品を容易に発表出来るようになったため、レコード産業というコネクションを通さずとも、音楽自体の質が高ければ、なおかつマーケティングの方向性を間違えなければ、幅広いリスナーのシェアを獲得出来るようになったのである。 ミュージシャンのレコーディングについても同様であり、これまでは相当な資金を投資し、マスタリング・エンジニアを雇い、自作品の録音作業をレコーディングスタジオで早くても一日、ながければ何週間もかけて行わなければならなかったのが、2000年代から、ラップトップ上で、レコーディング専用ソフトウェア、ProTools、Logic[....]

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Weekly Recommend Jungle 「Loving in Stereo」

 Jungle Jungleは、ジョッシュロイド・ワトソンとトム・マクファーランドによって2013年に結成されたソウル、R&B,ファンクユニットで、イギリスを拠点に活動している。母国ではかなり人気の高いアーティストでもあります。このワトソンとマクファーランドは子供の頃、ロンドンのシェパーズブッシュで隣に住んでいたといい、その頃からの幼馴染であったといいます。また、2人は共に、ハマースミスの私立学校ラティマー高等学校に通っていました。学校を卒業した後、つまり、2013年にワトソンとマクファーランドは、このクラブミュージックユニット、Jungleを結成します。彼らの言葉によれば、このユニットは「真の友情の繋がりへの欲求」から結成された音楽デュオでもあるといいます。Jungleの音楽性は、1960年代後半に盛んであったファンク、ソウルに触発を受けたディスコサウンドで、ファンカデリック、スライ・ザ・ファミリーストーン、また、ウィリアム・ブーツイー・コリンズといったアーティストからの影響が色濃いブラックミュージック。これまでの音楽シーンにおいて、ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンがそうであったように、多くの白人アーティストはロックミュージックを介し、黒人音楽に対する接近を試みてきましたが、近年のロンドン周辺のクラブシーンにおいては、電子音楽、ダンスミュージックを介してブラックミュージックへ接近を図るアーティストが増えてきているという印象を受けます。勿論、Jungleも、年代に関わらず、ブラックミュージックに対して敬意を持ち、それらの音楽性の核心を現代に引き継ぎ、リテイクしていくという点では同じであるように思えます。まだまだ60.70年代に一世を風靡したソウル、ファンク、ディスコ、これらのブラックミュージックには開拓の余地が残されているということを、現代のクラブシーンのアーティストは証明しようとしているように思える。そのあたりのクラブシーンの活気に後押しされ、これらの60.70年代のブラックミュージックのリバイバルの動きの延長線上に、ディスコサウンドの立役者「ABBA」の復活の理由があるのかもしれません。これらの音楽、つまり、懐古サウンドといわれていたブラックミュージックは、2020年代には再び脚光を浴びる可能性が高くなっている。このイギリスのユニット、デュオ、Jungleについていうなら、近年のアーティストらしく、ラップ寄りのサンプリングといった技法も取り入れられているのがクールで、現代のユーロ圏のクラブシーンにおいて人気を博している理由でしょう。2013年10月、シングル盤「This[....]

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News F.S.Blumm&NIls Frahmが新作「2×1=4」をリリース!!

Nils FrahmとF.S.Blummは四度目の共同制作作品として、2021年9月3日、"LEITER"から新作「2×1=4」を発表する。既にニルス・フラームの方は、ポストクラシカル、電子音楽の音楽家として、一方のF.S.ブラームの方は、音楽家、作曲家、ラジオ作家として有名なアーティストである。この2人の才能が今回、上手く融合したことにより、この作品は、ドイツの音楽シーンの潮流を一挙に変えてしまいそうな力を持ったコアなダブ作品に仕上がっている。 左からF.S.Blumm[....]

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東欧シューゲイズシーンの立役者  Pia Fraus 「Now You Know It Still Feels the Same」

 Pia Frausピア・フラウスは、エストニアの首都タリンで、美術学校の生徒、Kart Ojavee、Kristel Loide、Rein Fuks、Tonis Kenkma、Rejio TagapereJoosep Volkの六名によって1999年に結成され、現在までメンバーチェンジを経ながら長い活動を続けているインディーロックバンドです。 1999年の春に、ピア・フラウスの面々は、いくつかのギグをこなし、その後時を経ずにレコーディング作業に入る。 2001年に自主制作盤「Wonder[....]

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サイコビリー&パンカビリー アンダーグラウンドの世界への誘い

ロカビリーの後継者 サイコビリーの面妖な世界 サイコビリーは1980年代、ロカビリー音楽の後継者としてイギリスのシーンに誕生した。そのカルチャーとしての始まりは、イギリスのThe Meteorsというパンク・ロックバンドにある。また、このジャンルを一番最初の音楽として確立したのは、アメリカのNYを拠点に活動していたThe Crampsである。   [....]

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シカゴ発 インディーレーベル 「TOUCH&GO」 歴代の選りすぐりの名盤をピックアップ!!

Touch and Go Records  米、イリノイ州シカゴに本拠を置くレコード会社「TOUCH&GO」は、歴史のある老舗インディーレーベル。元々、独立ファンジンを発行していたテスコ・ヴィーとデイヴ・ステムソンにより1981年に設立されました。  このレーベルは、ニューヨークの「Matador」、シアトルの「Sub[....]

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